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公開文化講座

2012年9月28日(金)

「茶の湯の歴史(その6)
 第1回 小堀遠州の茶の湯」

熊倉 功夫 氏(静岡文化芸術大学 学長)

江戸時代の初頭を飾る寛永文化は、茶の湯の歴史の中でもことに華やかな話題の多い世界です。千家では千宗旦によって千家の茶の湯の風躰が確立された時代ですが、それに呼応するように大名の中からも小堀遠州や片桐石州、金森宗和などの人びとがあらわれて独自の茶風を創り出しています。小堀遠州はその中でもきわだって重要な位置を占めています。
遠州は宗旦とほぼ同世代で、若き日に千利休にも出会うという茶人として幸運なスタートを切りました。その後、古田織部から茶を学びますが、その茶風は全く反対方向へ進みます。遠州の茶風をあらわす言葉は「きれい数寄」です。色彩的にも形態の上からもきれいな道具を好み、王朝文化の和歌の伝統を茶の湯に深く導入します。優美で均衡がとれ、しかも瑞(しょんずい)に象徴されるような中国のモダンな新しい美しさも取りこみます。こうした遠州の茶を茶会記と逸話から読みときました。

熊倉 功夫 氏 静岡文化芸術大学 学長熊倉 功夫 氏
静岡文化芸術大学 学長
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