開館30周年記念特別展 「わびと数寄―受け継がれる利休の心―」
特別展の見どころ
第10回 わびの極致の空間
表千家にある反古(ほご)張りの席は、一畳台目という極めて小さな茶室です。この小間(こま)茶室は、客畳と点前畳の間に空間を設けていないため、亭主と客の心の結びつきも深まります。
特に印象的なのは、茶道口の太鼓襖や壁の腰張りに、江戸時代前期から中期の歴代家元に宛てられた手紙が反古として用いられている点です。亭主側の壁には一段、客側には二段に反古紙が張られており、それが茶室の名の由来にもなっています。このような趣こそ、わびの極致といえるでしょう。また、利休が作ったとされる国宝「待庵」は二畳のわび茶の茶室として有名ですが、それと比べてもこの茶室は少し狭く、わびた趣を深めています。
今回の特別展で上映中の、特別映像「わびと数寄 不審菴、四君子苑へのいざない」は、反古張りの席をはじめ、家元と四君子苑の茶室で撮影したものです。季節の道具の取り合わせを、うつろいゆく露地の風景とともにご覧いただきます。ご来館の際は、ぜひ映像もお楽しみください。
また、2階の組立式小間を四畳半から三畳に組み替えております。実際に中にお入りいただき、展示道具が置かれている姿を想像しながら、小間でのひとときをお楽しみください。お写真もお撮りいただけますので、ご来館の記念にいかがでしょうか。