開館30周年記念特別展 「わびと数寄―受け継がれる利休の心―」
特別展の見どころ
第11回 小間の道具 ―反古張りの席と珍散蓮―
連載第10回では、わびの極致の空間といえる小間と、小間で撮影した特別映像をご紹介しました。
撮影の際に取り合わせられた四季の道具にも見えるとおり、広さの限られた小間では、色のあざやかさで目を引く道具より、無地で抑えた色調のなかにも風情のある道具が多く用いられます。
たとえば写真では、表千家の小間・反古張りの席では黒漆の棗や黒樂茶碗などが、北村美術館四君子苑の小間・珍散蓮では金輪寺茶器や御本立鶴茶碗などが取り合わされています。
本展で展示されている道具がどこでどのような取り合わせで使われたのか。
これまでその道具を所持してきた茶人たちが何を思い、どのように茶事の趣向をこらしたのか。
実際の道具を前に考えをめぐらせることができるのも、本展をご覧いただく際の楽しみのひとつといえるのではないでしょうか。