特別展の主題「表千家歴代ゆかりの茶碗、服紗」にもとづき、2回の講座が開催されました。
2023年11月26日(日)
座談会「茶碗と服紗 -つくる心-」




三家のご当主を迎えて、熊倉功夫氏を聞き手としてご登壇いただいた。
各ご当主が今回の特別展の中で、特に印象深い作品やお持ちいただいた写真をスクリーンに映しながらお話をされた。
土田氏は、ご自身が代を継がれた翌年の未年の干支服紗が思い出深く、ご自身で羊雲を描いた図案を考えつき、而妙斎宗匠にお選びいただいたときのことを話された。また、十二年前と今年の卯年の服紗、喜寿服紗を映され、色やデザインなど、而妙斎宗匠と猶有斎宗匠のお好みがどのように反映されているのかを話された。
永樂氏は、家の歴史の原点である土風炉を作りたいと考えられている。土風炉は、生地を磨いて輝きをだし、漆でなく燻して黒くすると説明された。ご自身の作陶については、華やかな即全、而全の作品とは違う方向性で造ることを考えておられる。「新しい釉薬を考える」「いままでと異なる技法で作陶する」「華やかなものは小品にする」など制作への思いを話された。
樂氏は、展示されていた覚々斎手造団子ノ絵の茶碗を話題に出され、手造りのたっぷりとした茶碗にお人柄があらわれると語られた。また、窯焚きの写真を示され、昔から変わらない樂家代々の窯であるが、火傷や苦労をしても気持ちを注いで茶碗を作ることのできるこの窯に魅力を感じると話された。
これから作りたい道具について問われると、樂氏は茶碗が茶室空間でどう存在するか考えて作っていきたいとお話され、永樂氏は自分に真直ぐな考えをもって作品を作っていきたいと話された。また、土田氏はお二人が作られる茶入に仕服を作りたいと語られた。
最後に、新しい時代にふさわしい十職のこれからの仕事に注目していただきたいと熊倉氏がまとめられた。